トピックス

つなぐだよりvol.3 2021.12

子どもを難病から守り、明るい未来へ

ごあいさつ

KMバイオロジクス株式会社 新生児スクリーニングセンター長 山内芳裕  平素は弊社の新生児スクリーニング事業に格別のご支援とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて今般、弊社新生児スクリーニングセンターから定期的に発行しております「つなぐだより福岡」の第3号をお届けいたします。
今号より紙面をリニューアルし、これまでの医療関係者さま向けの情報に加え、新しい検査のご案内や病気の説明を、一般の方々にも分かりやすく発信していきます。
 近年の少子化の中で「拡大スクリーニング」をキーワードとした新しい検査に注目が集まり、その期待が大きくなっていることを強く感じております。今回のリニューアルを機に私たちが「見ていただきたい内容」に、関係の皆さまが「見たい、知りたいと思われる内容」をプラスしていけるような紙面作りに努めてまいります。どうぞ新しくなった「つなぐだより福岡」をお手に取られてご覧ください。
 今後ともより一層のご支援を賜わりますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。 謹白 KMバイオロジクス株式会社
新生児スクリーニングセンター長
山内芳裕

トピックス

国内初、新生児スクリーニングで乳児型ポンペ病を発見
早期診断で高い治療効果に期待

 福岡県地域において2014年7月よりライソゾーム病の一つであるポンペ病の新生児スクリーニングを一般社団法人IBUKIで実施されています。これまでに福岡では約20万人の検査をしており、今回国内で初めて、乳児型ポンペ病患者1人を発見することができました。
 この疾患は乳児期に筋力低下や心不全、呼吸不全などを発症し重篤な経過をたどることが知られています。今回、早期診断により症状が増悪する前に治療開始できたことで、非常に高い治療効果が得られており、普通のお子さんと変わらない運動発達を遂げています。

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「九州先天代謝異常症診療ネットワーク会議」が開催されています!

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九州先天代謝異常症診療ネットワーク会議2017
併催/第6回九州新生児スクリーニング研究会

 新生児スクリーニングで見つかる疾患の診断技術や治療法の進歩は著しく、医療関係者や患者さん、そのご家族、自治体、検査機関などにおける情報交換がより重要とされています。
 年に1度開催されるこの会議では、国内より専門の先生をお招きし地域の医師、医療関係者、検査機関などで新生児マススクリーニングに関わる分野の最新情報などを共有し、同時に地域の新生児スクリーニング対象疾患の診断と治療の知識を高めることを目的として開催されています。

拡大スクリーニング検査
実施状況

2021年9月までに実施された、国指定難病(ライソゾーム病)の拡大スクリーニング検査実施状況をお知らせします。

<拡大スクリーニング検査実績まとめ>

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要精密数

検査の結果病気の疑いがあるため、精密医療機関の受診をお願いした方の数

診断確定数

精密検査機関で、疾患と診断が確定した方の数

ライソゾーム病とは...

 特定の遺伝子異常により、ライソゾーム酵素の欠損または活性が低下し、本来分解されるべき基質が細胞内に蓄積し、正常な細胞活動ができなくなることで発症する先天性代謝異常症です。  ライソゾーム病としては現在、60種類以上の疾患が報告されており、主な疾患として、ファブリー病、ポンペ病、ゴーシェ病、ムコ多糖症などが挙げられます。

福岡での詳細データ

●ファブリー病

福岡県受検数要精密数確定数
2014年7月~2021年3月 191,932 53 15
2021年4月~2021年9月 17,593 10 0
合計 209,525 63 15

患者発見頻度:1/13,968(209,525名検査、15名発見)
(参考)患者発見頻度:1/11,437(457,475名検査、40名発見)(福岡・熊本での実績集計)

●ポンペ病

福岡県受検数要精密数確定数
2014年7月~2021年3月 191,932 67 1
2021年4月~2021年9月 17,593 20 0
合計 209,525 87 1

※乳児型のみ集計

患者発見頻度:1/209,525(209,525名検査、1名発見)
(参考)患者発見頻度:1/341,172(341,172名検査、1名発見)(福岡・熊本での実績集計)

●ゴーシェ病

福岡県受検数要精密数確定数
2019年4月~2021年3月 71,263 1 1
2021年4月~2021年9月 17,593 0 0
合計 88,856 1 1

患者発見頻度:1/88,856(88,856名検査、1名発見)
(参考)患者発見頻度:1/39,827(159,309名検査、4名発見)(福岡・熊本での実績集計)

●ムコ多糖症I型(MPS1)

福岡県受検数要精密数確定数
2019年4月~2021年3月 71,263 5 0
2021年4月~2021年9月 17,593 0 0
合計 88,856 5 0

●ムコ多糖症Ⅱ型(MPS2)

福岡県受検数要精密数確定数
2019年4月~2021年3月 71,263 45 1
2021年4月~2021年9月 17,593 20 0
合計 88,856 65 1

患者発見頻度:1/88,856(88,856名検査、1名発見)
(参考)患者発見頻度:1/159,298(159,298名検査、1名発見)(福岡・熊本での実績集計)

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大切な赤ちゃんへ
お父さん、お母さんから
最初のプレゼント

早期発見で治療が可能に!

生まれてすぐに
指定難病(ライソゾーム病)の
検査ができます

ライソゾーム病とは

酵素異常や欠損により発症する疾患で難病(ファブリー病、ポンペ病など)に指定されています。生まれてすぐに検査する新生児マススクリーニングろ紙血を使用した検査が可能です。

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パパママになる皆さまへ

子どもの健やかな成長を願う気持ちは、どの家庭も変わりありません。
しかし、もしわが子に難病を発症するリスクがあったとしたらどうでしょう。今は、公費で行われている先天性代謝異常等検査に加え、国指定の難病「ライソゾーム病」の拡大スクリーニング検査が、出生時に採取するわずかな血液(血液ろ紙)でできるようになりました。早期発見、早期治療で赤ちゃんの発症、重症化予防につなげるために検査を受けましょう。

QRコード

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  • 検査内容

    新生児スクリーニング検査とは、生まれつき特定の酵素が欠損、あるいは特定のホルモンが不足することなどで、知的障害や身体の発育に障害を起こす先天性の疾患等について早期発見するための検査です。

  • 検査方法

    生まれて4~6日目の赤ちゃんのかかとから少量の血液を採取し、新生児スクリーニングセンターで検査します。新生児マススクリーニング検査は、公費検査とその他の疾病(ライソゾーム病)を検査する拡大検査(有料)があります。拡大検査を希望されても、追加の血液採取はありません。

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  • 検査申し込み先

    出産予定の産科医療機関(分娩取扱施設、産院、助産院)に申し込みをしてください。

image検査に関すること、申し込みについての詳細は、出産予定の産科医療機関にお尋ねください。