トピックス

つなぐだよりvol.4 2022.6

子どもを難病から守り、明るい未来へ

福岡県下すべての産科施設でライソゾーム病のスクリーニングが可能になりました

image

 福岡県では2019年4月からライソゾーム病の有料検査をスタートし、22年4月1日から福岡県内の分娩お取り扱い施設で希望があれば、すべての施設で新生児のライソゾーム病検査ができるようになりました。検査可能な施設は一般社団法人IBUKIホームページに掲載されています。

「第63回日本先天代謝異常学会学術集会」が開催されます

 新生児スクリーニングで見つかる疾患の診断技術や治療法の進歩は著しく、医療関係者や患者さん、そのご家族、自治体、検査機関などにおける情報交換がより重要です。
 熊本で年1回開催されている「九州先天代謝異常症診療ネットワーク会議」において、今年は5月21日(土)に、シンポジウム“拡大新生児スクリーニングの現状と課題"がWeb開催されました。
 また今年11月24日(木)~26日(土)には、熊本大学小児科学講座中村公俊教授のもと「第63回日本先天代謝異常学会学術集会」が熊本城ホールで開催される予定です。“先天代謝異常の持続可能な医療を目指して”をテーマに、口演やポスターでの発表が行われます。
https://square.umin.ac.jp/jsimd-63/

新生児スクリーニングセンター長 ごあいさつ  平素は拡大新生児スクリーニング検査に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 2022年1月より新センター長を拝命しました原田健司と申します。適切・迅速・確実な検査を安定的に実施し、早期診断・早期治療による発症予防とQOLの向上に寄与できるように努めてまいります。
 今後ともより一層のご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

拡大スクリーニング検査
実施状況

2022年3月までに実施された、国指定難病(ライソゾーム病)の拡大スクリーニング検査実施状況をお知らせします。

<拡大スクリーニング検査実績まとめ>

image

要精密数

検査の結果病気の疑いがあるため、精密医療機関の受診をお願いした方の数

診断確定数

精密検査機関で、疾患と診断が確定した方の数

ライソゾーム病とは...

 特定の遺伝子異常により、ライソゾーム酵素の欠損または活性が低下し、本来分解されるべき基質が細胞内に蓄積し、正常な細胞活動ができなくなることで発症する先天性代謝異常症です。
 ライソゾーム病としては現在、60種類以上の疾患が報告されており、主な疾患として、ファブリー病、ポンペ病、ゴーシェ病、ムコ多糖症などが挙げられます。

福岡での詳細データ

●ファブリー病

福岡県受検数要精密数確定数
2014年7月~ 2021年3月 191,932 53 16
2021年4月~ 2022年3月 34,408 11 2
合計 226,340 64 18

患者発見頻度:1/12,574 (226,340名検査、18名発見)
(参考)患者発見頻度:1/111,81 (480,776名検査、43名発見)(福岡・熊本での実績集計)

●ポンペ病

福岡県受検数要精密数確定数
2014年7月~2021年3月 191,932 67 1
2021年4月~ 2022年3月 34,408 21 0
合計 226,340 88 1

※乳児型のみ集計

患者発見頻度:1/226,340 (226,340名検査、1名発見)
(参考)患者発見頻度:1/364,473 (364,473名検査、1名発見)(福岡・熊本での実績集計)

●ゴーシェ病

福岡県受検数要精密数確定数
2019年4月~2021年3月 71,263 1 1
2021年4月~ 2022年3月 34,408 0 0
合計 105,671 1 1

患者発見頻度:1/105,671 (105,671名検査、1名発見)
(参考)患者発見頻度:1/45,653 (182,610名検査、4名発見)(福岡・熊本での実績集計)

●ムコ多糖症I型(MPS1)

福岡県受検数要精密数確定数
2019年4月~2021年3月 71,263 5 0
2021年4月~ 2022年3月 34,408 0 0
合計 105,671 5 0

●ムコ多糖症Ⅱ型(MPS2)

福岡県受検数要精密数確定数
2019年4月~2021年3月 71,263 45 1
2021年4月~ 2022年3月 34,408 27 0
合計 105,671 72 1

患者発見頻度:1/105,671 (105,671名検査、1名発見)
(参考)患者発見頻度:1/182,599 (182,599名検査、1名発見)(福岡・熊本での実績集計)

image

大切な赤ちゃんへ
お父さん、お母さんから
最初のプレゼント

早期発見で治療が可能に!

生まれてすぐに
指定難病(ライソゾーム病)の
検査ができます

ライソゾーム病とは

酵素異常や欠損により発症する疾患で難病(ファブリー病、ポンペ病など)に指定されています。生まれてすぐに検査する新生児マススクリーニングろ紙血を使用した検査が可能です。

image

パパママになる皆さまへ

子どもの健やかな成長を願う気持ちは、どの家庭も変わりありません。
しかし、もしわが子に難病を発症するリスクがあったとしたらどうでしょう。今は、公費で行われている先天性代謝異常等検査に加え、国指定の難病「ライソゾーム病」の拡大スクリーニング検査が、出生時に採取するわずかな血液(血液ろ紙)でできるようになりました。早期発見、早期治療で赤ちゃんの発症、重症化予防につなげるために検査を受けましょう。

QRコード

imageimage

imageimage

  • 検査内容

    新生児スクリーニング検査とは、生まれつき特定の酵素が欠損、あるいは特定のホルモンが不足することなどで、知的障害や身体の発育に障害を起こす先天性の疾患等について早期発見するための検査です。

  • 検査方法

    生まれて4~6日目の赤ちゃんのかかとから少量の血液を採取し、新生児スクリーニングセンターで検査します。新生児マススクリーニング検査は、公費検査とその他の疾病(ライソゾーム病)を検査する拡大検査(有料)があります。拡大検査を希望されても、追加の血液採取はありません。

    image

  • 検査申し込み先

    出産予定の産科医療機関(分娩取扱施設、産院、助産院)に申し込みをしてください。

image検査に関すること、申し込みについての詳細は、出産予定の産科医療機関にお尋ねください。